「キラっ!」 帰ってくるなり抱きついてきた同居人を……。 少年は無情にも、よけた。 よけて更に追い討ちまでかける。 目標を失った彼の背中を蹴って。 「うわあっ」 ――ゴンっ。 コーディネーターの身体能力は良いのではなかったか。 それとも傷心のあまりとでもほざくのだろうが。 ……いつものことなのに。 踏みつけられるように床と対面した彼は、しばし動かない。 些か大げさだと、後悔も何もなくキラは思った。 それにしてもいい音がした。 打ったのは額だろうか。 「アスラン」 呼んでも返事がない。 ピクリとも動かない。 まさか彼に限って気を失っただとかそんなはずもあるわけがなく――あったらここぞとばかりに笑ってやろうと構えているのだが、残念ながらいまだかつてそんなことはない――一番近いので一種のあてつけだろう。 仕方なくキラも囁いてみる。 邪魔でしょうがない。 「アスラン、そこどいて。踏むよ?」 まだ返事はない。 さらに言い募った。 「故意に」 back (一言) 短い。でも意外に楽しかったとかいう……。 |