ふと違和感を、居心地の悪さに似たそれを感じてキラは目を覚ました。 「…………なに、やってるの?」 違和感の正体に気付くと同時に頭痛が襲ってきたのは、別にキラが病気なわけではない。 むしろ病気なのは、この目の前の幼馴染なのではないか。 本気で疑いつつある今日この頃。 「撮影」 「いや、見たらわかるよそんなことは。そうじゃなくてね」 キラはそう言ったが、しかし彼が手に持つのは…………どうみてもビデオカメラには見えない。 球で、菫色で、それから顔なんかついてたりして…………。 おもちゃなのか武器なのか道具なのかはたまたそれ以外のものなのか、キラにはなんとも区別のつけがたい、ピンクの髪の歌姫の家に腐るほど転がっている、あのハロだった。 「なんでハロ? ってゆーのと、寝てるのなんか撮らないでよ、馬鹿って意味」 真っ赤になって怒って彼からハロを奪い、データを消去してしまおうかとも一瞬考えたが。 しかしそれを実行するまえに、なんだか異様な疲れを感じてしまってもう怒る気にもなれなかったのだ。 いや、仕返しはしたいと思うが。 とりあえず二度とこんなことをしないと思うくらいの。 「ラクスに頼まれたんだ。『今度は撮影機能をつけてください』って」 彼の答えは簡潔だった。 そして納得のいくものだった。 何故ハロなのか、に関しては。 今キラの手元にハロがもう一体いれば、アスランに投げつけていた自信がある。 「何するつもりなんだろ、ラクス」 「さあ?」 首を傾げるが、恋人だと主張する幼馴染の顔には、わからないとはかかれておらず、ただ考えたくないと書かれている。 同感だったが。 考えるも何もいくつか用途をすでに思いついてしまっていたのは痛かった。 「で。君はなんで僕を撮ってるの。しかも寝てるとこなんてっ! やめてよね。恥ずかしい」 「初めは動いてない被写体はおもしろくないとも思ったんだが……。うん。可愛かったよ? キラ」 一瞬の微妙な空白はなんだろう。 ふつふつとわいてくる感情に、キラはもう逆らおうとは思わなかった。 「あはは。そうなんだ。じゃあ、アスランもやってみる?」 「え? キラ?」 「とりあえず、動かない状態からつくってみようか」 笑顔で言い切った。 「縄がいい? 手錠がいい? それともリボン? 好きなの選ばせてあげるよ」 ついでに僕自ら縛ってあげよう。 宣言すると、アスランはさすがに顔をひきつらせた。 「過激だな、キラ」 back (一言) アスランがキラに縛られるとよい、と思って書いたが……。さすがに日記でこれ以上はできなかった。もっと頭を使うべし。 |